完璧とは、付け加えるべきものがなくなった時ではなく、取り去るべきものがなくなった時のこと。

− サン=テグジュペリ

ソフトウエア界隈での名著『ハッカーと画家』より、デザインについてまとめてみました。技術者向けの本ですが、プログラマーじゃなくても、デザイナー、動画クリエイター、文章を書く人にも参考になります。
美の基準は主観的だが、歴史上の芸術作品から最新テクノロジーまで、実は多くの共通項があります。

良いデザインは単純である。
美とは表面的な装飾で溢れさせることではなく、 少数のよく考えられて選ばれた要素から組みたてられるものだということだ。〜 文章においてはこういうことだ。言いたいことを簡潔に言え。

日々ブログを書いていて感じますね。「どうやったら言いたいことが伝わるのか?」「もっと無駄を省けないか?」。難しいことももっとシンプルに伝えるようにできないか。
 

良いデザインは永遠である。
もし未来の世代にも気に入られるものを作りたいなら、 過去の世代にも気に入られるものを作ろうとするのも一つの方法だ。 未来がどうなるかを予測するのは難しいが、 現在の流行に左右されないという意味では過去も同じようなものだ。

「時間」という最大の試練に耐えてきたもの。常に最高のインスピレーションですね。本でも音楽でも時間という大海原を経過してきたものはいつ時代でも参考にされます。
 

良いデザインは想像力を喚起する。 
ジェーン・オーステンの小説には叙述がほとんどない。 いろんなものがどんなふうに見えるかを説明するかわりに、 彼女は物語を実にうまく語るので、あなたは情景を目に浮かべることができるのだ。

自分の中でいい小説は心に残るかどうか。それは情景や感情が湧き出るような感覚。これは受け手の想像力を信じてあげる。外から説明を与えるのではその人の内にある想像力を引き出してあげる。
 

良いデザインは正しい問題を解決する。 
よくある台所のレンジは4つの火口が四角に並んでいて、 それぞれを調節するつまみがついている。 このつまみをどうやって配置したらいいだろう。 一番簡潔な答えはそれを横一列に並べることだ。 だがそれは、間違った問いに対する簡潔な答えなのだ。 つまみは人が使うものだ。つまみが横一列に並んでいたら、 不幸なユーザーは毎回どのつまみがどの火口に対応しているかを考えなければならないだろう。 火口と同じようにつまみを四角に配置した方が良い。

デザインの向こうには必ず人がいます。その人がどう動くか見えたときこそ良いデザインとなるのです。
 

良いデザインをするのは難しい。 
バウハウスのデザイナーがサリヴァンの「形態は機能にしたがう」という方針を 採用した時、彼らが意図したのは「形態は機能にしたがうべきである」ということだった。 そして機能が難しいものであるなら、形態もそれに従わざるを得ない。 誤りを犯す余地は無いからだ。野性の動物が美しいのは、彼らが困難な生を生きているからだ。

iPhoneがまさにそうですね。ホームボタンに従えてば迷うことはない。傑作デザインと言われる所以です。
 

良いデザインは簡単に見える。
偉大な陸上選手のように、偉大なデザイナーはデザインをいとも簡単に見せる。 ほとんどの場合、それは幻想だ。多くの分野で、一見簡単そうなことは練習によってもたらされる。 練習の効用とは、意識しなければできなかったことがらを無意識の中でできるようにすることなんだろう。
 

スポーツやっている人はこんな経験があるのではないでしょうか。プロはいとも簡単にやっていることはいざ再現しようとするとできない。その裏には膨大な量の練習時間がある。
 

良いデザインは対称性を使う。
対称性には2種類ある。繰り返しと再帰だ。 再帰とは、葉脈の模様のような、部分構造への繰り返しと言っても良い。数学や工学では、再帰が特に有用だ。 帰納法による証明は素晴らしく短い。 ソフトウェアでは、再帰的で解ける問題はほとんどの場合、それが最良の解法だ。 エッフェル塔が印象的なのは、おそらくその塔の上に塔がある再帰的な構造にその一部を負っている。

スタンリー・キューブリックの映画を思い出します。家具の配置など左右対称ですね。「再帰」って貝殻に渦巻きをイメージするとわかりやすいです。
 

良いデザインは自然に似る。 
自然に似ているからとにかく良い、というのではなく、 自然は問題を解くのに非常に長い時間をかけてきたから、参考にする価値がある。 あなたの解が自然の解に似ていたら、それは良いしるしだ。

この世で最も厳しいもの。「自然」。その時間に耐えてきた動物や植物はデザインする上で最も参考になります。大自然というデザイナーによる淘汰と進化。神様がまるで編集しているかのようです。
 

良いデザインは再デザインだ。 
最初からうまくできるということは滅多にない。 計画が変更されることを予定してかかるのだ。
間違うのは自然なことだ。間違いを大失敗のように考えるのではなく、 簡単に見付けて簡単に直せるようにしておくことだ。

文章ならとりあず、まずなんでも良いで書いてみて、後で直せばよい。いくらでも更新できるし、削ることもできる。最初から100%なんていかない。中途半端でも、早めに形にしたほうが、逆に100%に近づく。
 

良いデザインは模倣する。 
模倣に対する態度はしばしば一巡する。初心者は知らず知らずのうちに模倣する。 そのうち、彼は意識的に独自性を出そうとする。 最後に、独自性よりも正しくあることがより重要だと気づく。
なんでも最初はどんどん上手な人のを真似するべきだ。そこで上手な人が気をつけていることが理解できるようになってくる。

ものつくりのセンス ---Taste for Makers--- 引用元