ー「サイファーパンク宣言」(エリック・ヒューズ, 1993)
- プライバシーは電子時代の開かれた社会に不可欠である。
- 政府・企業・その他大きな顔が見えないような組織がプライバシーを与えてくれるとは期待できない。
- プライバシーを確保しようとするならば、我々は自身のプライバシーを擁護しなければならない。
- サイファーパンクはコードを書く。我々はプライバシーを擁護するためには誰かがソフトウェアを書かなければならないと確信しており、我々はソフトウェアを書かんとする。
ビットコインの思想

2009年10月31日、ナカモト・サトシと名乗る人物が、暗号技術専門家のメーリングリストに"Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System"(ビットコイン:ピア・ツー・ピア型の電子現金システム)という論文 を配信しました。
この論文を受け取った多くの人に、ある共通バックグランドがありました。
それは国家権力への対抗する手段として、暗号の利用を推進し、リバタリアニズム(自由至上主義)の流れを汲む人たちです。
ビットコインの源流をたどっていくと、このリバタリアニズム(自由至上主義)という思想に行き着きます。
平たく言えば、個人の自由を尊重し、政府や企業による財産への侵害を許さない考え方です。
サイファーパンクとは?
国家権力への対抗手段として
サイファー(暗号化)を用いて
パンク(反逆) するということです。
つまり、サイファー(暗号化)して、パンク(反逆)する、という造語です。
支持したのはヒッピー、ベトナム戦争反対、女性解放運動の流れを汲む カウンターカルチャーの人たちです。
SF文学や映画のサイバーパンクを文字ってますね。w
ちなみにサイファーパンクでよく知られた人といえば、ジュリアン・アサンジ氏がいます。
なぜこのように考えたのか?
インターネット黎明期において、人々が夢想したのは、国家の検閲を受けずに、自由に考え発信できる場です。
その自由に発言できる手段が暗号だったわけです。
なぜなら、サイファーパンクたちは暗号化した匿名で発言できることが、本当の言論の自由につながると考えてました。
例えばTwitterで匿名で発言することは、別におかしなことではないです。
ある程度、自由に発言できることになったはずだが・・・
現状のインターネット見ると散々ですね。匿名が産んだのはヘイトスピーチと個人に対する誹謗中傷です。一部の国ではインターネットは国家によって検閲されています。
勝ち組のネット企業は、広告のために個人データを使い放題です。あなたの発言、写真や「いいね」はマーケティングデータに使われてます。もはやユーザーは養分にされているのが実情で、個人のプライバシーはあったもんじゃないです。
個人が、インターネットで中央集権と戦ってきたつもりが、逆にインターネットを利用した国家や企業がより強固になってしまったというのが実情です・・・
脱中央集権
そこに風穴を開けたのがビットコインとブロックチェーンでした。
銀行(中央)を介さず、かつ匿名(暗号化)で通貨(価値)のやりとりができる。
インターネット黎明期にサイファーパンクたちが夢見た、個人の自由と尊厳を守り、国家の介入なしに個人間で直接やりとりする理想を、ナカモト・サトシはソースコードで具現化したのです。
ビットコインでこそ通貨ですが、それがコンテンツであったり、個人情報であったり、契約であったりしてもいいわけです。
実はインターネットも暗号化も、元々軍事利用のためにありました。面白いのはこれらの技術が、カウンターカルチャーの流れを汲む人たちに指示されたことです。
テクノロジーは、暴力にも自由な社会を実現するためにも、利用できることを歴史が証明しています。あなたはどちらに使いますか?
ビットコインって、投機や資産の逃避先に見られるけど、原点を知っておくとビットコインをもっと応援したくなりますよ。
ちなみにナカモト・サトシが論文を配信したのはリーマンブラザーズが破綻した1ヶ月後です。翌年1月には、ブロックチェーンの創世記ブロックを起動しています。
サトシは2010年12月に「わたしは別にやることがある」と、仲間に言って忽然と姿を消しました。
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